スピリタス 4人の打楽器群のために：片岡寛晶 [打楽器4重奏]

スピリタス 4人の打楽器群のために

　2015年、福島県立喜多方高等学校吹奏楽部からの委嘱により作曲、同年初演されました。
　冒頭はDの持続音で、ゆっくりと音楽が展開していきます。その後、D・Es・Fis・G・A・Cのマカーム音階で旋律を紡ぎました。 厳かな雰囲気の中で、強い精神力で表現してもらえればと思い、スピリタスというタイトルにしました。有名なウォッカ(お酒)を意味しているものではありません。
　中間部もマカーム音階によるコラールですが、前半とは違い、神秘的かつ幻想的な音楽として捉えていただけると、より彫の深い演奏になるでしょう。 後半のIからは、初めてDur(長調)の音楽になります。エンディングに向い、推進力のある音楽を目指してみてください。「L」からはマカーム音階の転調によりテンションの高い演奏が望まれます。エネルギーの持っていき方がポイントとなるでしょう。

最後になりますが、テクニック・表現共に難しい箇所があり、作品として万人ウケはしないかもしれませんが、演奏される皆さん一人ひとりが曲を理解し、分かり易い解釈で聞き手の皆さんに表現される事で、伝わる演奏、一体感のある音楽が生まれると私は思います。

一本筋の通ったスピリタスが、届きますように。

(片岡寛晶)

仕様

楽器編成

片岡寛晶(Hiroaki Kataoka)

1983年・福岡県飯塚市生まれ、東京都在住。

東京音楽大学を卒業後、朝日作曲賞に入選。自作曲【天馬の道】が、全日本吹奏楽コンクールの課題曲に選出された。その後、数々の作品が海外に広がりMidwest ClinicやWASBE(世界吹奏楽協会)のカンファレンスにおいて、打楽器をメインとしたオーケストレーションが評価され、多くの支持を得た。手掛けた作品は各レーベルより出版され、音源、映像等は多数。2015年・海上自衛隊横須賀音楽隊、2018年・海上自衛隊東京音楽隊の手によって、片岡　寛晶 作品集のCDがブレーン社より発売となった。2019年・2022年には、全日本吹奏楽コンクール作曲者別ランキング(小編成)にて１位を獲得。また、台湾の吹奏楽コンクールにおいては、最も演奏された作曲家の一人として話題になった。

近年では、教育本の著書、子供向け作品の提供をはじめ、校歌や市民歌の作曲、ブライダル音楽のプロデュース等も行う。

東京成徳大学非常勤講師、北九州マリンバオーケストラRIM音楽監督。

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