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物語性抜群!樽屋雅徳のオススメ作品【2019年版】

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吹奏楽界で爆発的な人気の曲を生み続ける、樽屋雅徳氏。代表曲「マードックからの最後の手紙」が思い出深い曲という方も多いのでは?
この記事では2016〜2019年にリリースされた12作品を一挙紹介します。2018年夏の吹奏楽コンクール支部大会において7校が演奏した『斐伊川に流るるクシナダ姫の涙(小編成版)』をはじめ、2019年の夏のコンクール演奏実績情報も追加しました。

目次

  1. タイトルに思いが詰められた樽屋雅徳作品
  2. 楽曲紹介
  3. 【まとめ】想いを観客に届ける樽屋雅徳作品

タイトルに思いを詰めた樽屋雅徳作品

樽屋雅徳氏の作品タイトルを眺めていると、小説を選んでいるような感覚になりませんか?
“作家はタイトルを決めるのに一番神経を使う”といいますが、樽屋雅徳氏もまた、楽曲のタイトルに強い想いを込めているのでしょう。彼の文学的素養の深さがうかがえます。

楽曲のテーマは、文学作品、神話・伝説、歴史上の人物や事件などさまざま。一つ一つのテーマを学んだ上で紡ぎ出される楽曲は、感情表現や情景描写がとても緻密で、実にドラマチックです。
“小説を深めるには行間を読む”といわれるように、樽屋作品もまた、一人一人が音への想いを深めることで表情を変えていくのかもしれません。ぜひ、あなたたちの樽屋雅徳作品を奏でてください。

メグルモノ~ジョン万エンケレセ

2019年最新刊!フォスターミュージックの委嘱作品です。

江戸末期から明治にかけて、日本とアメリカの架け橋となり多大な功績を残したジョン万次郎の半生を音楽で表現した楽曲。和風曲独特の美しい和音やお祭りを彷彿する軽やかなリズムや、ダイナミックで重厚な西洋音楽が融合した、和洋折衷な構成が特徴。グレード3+ながら聴きごたえのある演奏効果が高い作品です。

メグルモノ~ジョン万エンケレセ

作曲: 樽屋雅徳 (Masanori Taruya)

Crossfire – November 22

世界的に有名な未解決事件「ジョン・F・ケネディ暗殺事件」をテーマに、さまざまなシーンと感情を音楽に詰め込んだハイグレード楽曲。

希望に満ちたケネディ大統領に襲いかかる不穏なフレーズ。楽曲全体がミステリアスな雰囲気に包みこまれ、これから起こる悲劇を物語ります。

賛美歌やアメリカ国家など、耳馴染みのあるメロディーが印象的に使われているのも、この楽曲の面白さです。

今年度、全日本吹奏楽コンクールに於いて光ウィンドオーケストラが全国大会で金賞を受賞、鏡野吹奏楽団が四国支部大会で金賞を受賞しました。

Crossfire – November 22

作曲: 樽屋雅徳 (Masanori Taruya)

アンナの見る夢~The little match girl

アンデルセン童話「マッチ売りの少女」を、やさしく温かな木管アンサンブルを中心に、力強い金管とドラマチックな彩りを添えるパーカッションで綴る楽曲。クリスマスの夜を描いた作品なので、冬らしいキラキラと輝くような心踊るフレーズがたくさん散りばめられています。天国へ昇っていくアンナの姿を奏でるクライマックスに胸が熱くなる感動的なナンバーです。

アンナの見る夢~The little match girl

作曲: 樽屋雅徳 (Masanori Taruya)

November 19 – Revised Edition

アメリカ第16代大統領リンカーンの激動の人生を音楽で回想する、壮大な映画音楽のような作品です。2017年発表の中編成版を小編成に変更、演奏時間もコンパクトになって新たに生まれかわりました。

史上初めて近代的な機械技術が主戦力となった南北戦場の情景を、ハイハットの硬質なリズムが牽引し、緊張感漂う管楽器のフレーズが駆け抜けていきます。穏やかな夕暮れなどノスタルジックなシーンとのコントラストが印象的な楽曲です。

今年度、東日本学校吹奏楽大会に於いて、秀明八千代高等学校が金賞を受賞、福島県立原町高等学校が全日本吹奏楽コンクール東北支部大会にて金賞を受賞しました。

November 19 – Revised Edition

作曲: 樽屋雅徳 (Masanori Taruya)

ちはやふる

2018年10月発表の小編成向け楽曲。平安時代を代表する歌人・在原業平の叶わぬ恋を描いた楽曲。愛した姫君へのまっすぐな想いをたっぷりと歌い上げるメロディ。情感豊かなサウンドと切なくドラマチックな構成で、聴く人を曲で紡ぐ物語の世界へと誘います。各楽器の音色を活かしたソロパートと美しいハーモニーのアンサンブルパートも聞かせどころです。
「20人のコンクールレパートリーVol.4」に収録しています。また、本作発表のスペシャルインタビューもぜひご覧ください。

ちはやふる

作曲: 樽屋雅徳(Masanori Taruya)

とこしえの声〜いまここに立つ母の姿〜

2018年2月発表の中編成向け楽曲で、テーマは第二次世界大戦の特攻隊。戦地に赴く前の家族や恋人と過ごすあたたかくかけがえのない日常、戦争に巻き込まれていく運命に葛藤しながらも大空へ飛び立ち儚く散ってゆく少年たち、彼らを見送った母親の痛切な思いを、切なく美しい旋律で紡いでいます。
平成が“戦争のない時代”で終え、新しい時代を迎える今年。戦争を体験していないからこそ戦争の酷さを伝えることの大切さを教えてくれる楽曲です。
「コンクール自由曲ベストアルバム Vol.10 とこしえの声」の掲題曲として収録。

とこしえの声〜いまここに立つ母の姿〜

作曲: 樽屋雅徳(Masanori Taruya)

飛龍の鵠(ひりゅうのくぐい)

英題の「Aim of The Great Figures」を直訳すれば、「偉人たちの志」「偉人たちの計画」となります。「“飛龍”は偉人を指し、“鵠”は的や目的を意味する」と樽屋雅徳氏が語っています。

樽屋氏が表現したのは明治維新の偉人。国家100年の計を掲げ、先進国に追いつこうと激動の時代をまとめあげた人々です。その人々の志を“飛龍の鵠”という美しい日本語で表した樽屋雅徳氏。ダイナミックで和洋が混在する独特なメロディーは、コンクールでもたびたび演奏されています。

2018年には小編成向けの改訂版 も発表し、より多くのバンドで演奏できるようになりました。

飛龍の鵠(ひりゅうのくぐい)

作曲: 樽屋雅徳 (Masanori Taruya)

阿曇磯良(あずみのいそら)

安曇磯良は、神功皇后に海の水を操る宝玉を与えた海の神とされています。新羅征伐に行く神功皇后の招きに、最後まで応えなかった磯良。それは、顔中にカキやアワビがついた醜さを恥じたからでした。

そのような伝説を樽屋雅徳氏は、低音楽器をメインの吹奏楽曲に仕上げています。

神楽を感じさせる幻想的なオープニング、戦いへ向かう勇ましい響きのあとは、一転して悲しみを含んだメロディーに。そして磯良が宝玉を与えた後は、ラストに向かって勇ましい響きがさらにパワーアップします。

“ブラバン少女”として名高い、精華女子高等学校吹奏学部の素晴らしい演奏でも知られる一曲。(→挑戦! ブラバン少女)

阿曇磯良(あずみのいそら)

作曲: 樽屋雅徳(Masanori Taruya)

  • 編成: 吹奏楽中編成
  • グレード: 4+
  • 演奏時間: 7分30秒
  • FML-0165 フォスターミュージック

プラネット・ナイン 〜未知への軌跡〜

土気シビックウィンドオーケストラのアルバム20枚目の発売を記念して作られた曲ですが、現在ではコンクールでよく聴かれる曲となりました。

「プラネット・ナイン(第9番目の惑星)」は、1万〜2万年をかけて太陽の周りを回っているのではないかといわれています。その軌跡が音楽になったこの曲は、一言でいえば、“壮大な曲”。

遠い彼方から何かが近づいてくるようなオープニング、緩急のあるテンポが、宇宙空間の広がりを感じさせます。最後は楽器同士の音がぶつかり合い、クライマックスへ。

“いつもと同じ日常でも、昨日とまったく同じ日常はなく、明日も今日と同じではない”というような、樽屋雅徳氏のメッセージが感じられる一曲。

プラネット・ナイン 〜未知への軌跡〜

作曲: 樽屋雅徳(Masanori Taruya)

斐伊川に流るるクシナダ姫の涙(小編成版)

出雲神話で有名なヤマタノオロチ。スサノオの退治がよく知られていますが、きっかけとなったのは、ヤマタノオロチの犠牲になる直前のクシナダ姫の嘆きです。

メロディーは和の印象が強く、雅楽や神楽を感じさせる部分が随所にあります。女性的なメロディーから始まり、中盤では息も切らせない速く力強い音の連続。酔った龍のコミカルな音、眠っていくオロチから大円団へ。

スサノオの頭に飾られた櫛(クシナダ姫)が見た、ヤマタノオロチ退治です。

日本人になじみ深い音をモチーフにしたメロディーは、聴く人の想像力をかき立てます。

斐伊川に流るるクシナダ姫の涙(小編成版)

作曲: 樽屋雅徳(Masanori Taruya)

銀河鉄道の夜

2016年に生誕120年を迎えた宮沢賢治の代表作、「銀河鉄道の夜」。ジョバンニとカンパネルラの物語は、人生を描いているともいわれています。

“プラネット・ナイン”と同じく、宇宙を進む銀河鉄道。しかし、プラネット・ナインの描く壮大さはなく、人間の内面にある喜怒哀楽を表現する繊細なメロディーとなっています。

キラキラした幻想的な始まり、さまざまな出会いと別れを繰り返す銀河鉄道の旅。そして、カンパネルラの死を受けながらも、父からの“もうすぐ帰る”という知らせに心弾ませるジョバンニ。

「銀河鉄道の夜」を通し、喜びも悲しみもいつも身近にあるという樽屋雅徳氏の想いの詰まった作品です。

銀河鉄道の夜

作曲: 樽屋雅徳(Masanori Taruya)

眠るヴィシュヌの木

緩急がはっきりした、ドラマティックな楽曲です。広大さ、優しさ、勇ましさ、美しさ、哀しさ、りりしさ…さまざまなメロディーが現れては消えていきます。

そのメロディーの流れが表しているのは、大自然の表情、人生の出来事、たった一人の心の内…と、さまざまに解釈できるでしょう。

古代インドで発生した神話の中で最高神の一人として描かれるのが、タイトルにある“ヴィシュヌ”。神話の中で描かれる「現実世界のすべてはヴィシュヌの夢の中にすぎない」という場面を、樽屋雅徳氏は見事に音楽化しています。

自分の外にも中にもある無限を感じながら、演奏してみましょう。

眠るヴィシュヌの木

作曲: 樽屋雅徳(Masanori Taruya)


想いを観客に届ける樽屋雅徳作品

樽屋雅徳氏のドラマティックなメロディーは、聴く人によっていろいろな“なにか”を思い起こさせます。歴史上の偉人であったり、大好きなマンガの主人公であったり、自分の経験や想いであったり、広々とした風景や風であったり…。このような作品は、”ただ音を追って合わせる”だけでなく、”気持ちを合わせ”て演奏すると、音の深みがぐっと増してくるでしょう。“なにか”を思い起こさせるメロディーは、吹奏楽になじみのない観客も聴きやすいもの。コンサートなどでもおすすめな樽屋雅徳作品です。

【YouTube】樽屋雅徳プレイリストを聴く

 

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