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心の思いを音楽に…酒井格の作品 おすすめ5選

高校のころのお小遣いは、すべて楽譜に消えたという酒井格氏。自分の中にある歌心を人に伝えたいという思いが、作曲の原動力だといいます。その音楽は、独自の美しさをもち、ストーリー性があります。

きらきらと情感豊かな音を紡ぐ酒井格

4歳からピアノを学び、6歳でピアノ作品を作曲した酒井格氏。高校生時代には吹奏楽部に在籍し、アンサンブルの作曲やポップスの編曲を行っています。

作曲を誰かに師事したわけではない酒井格氏の教科書だったのが、お気に入りの曲の楽譜。スコアを手に入れ、何度も読み返したそうです。

デビュー作「たなばた」はその独学の中から生まれた曲で、高校生のときに書き上げ、大学生のときに楽譜が出版されました。その後も、吹奏楽のみならず管弦楽も作曲し、また平成21年以降の全国選抜高校野球大会で入場行進曲の編曲も担当しています。

酒井格氏の曲は、転調が多く使われます。それは形にとらわれずに、心の中の音楽をただ伝えたいとするからかもしれません。転調の波は、光を感じさせるきらきらした音楽として酒井格氏のスコアに記されていきます。

たなばた:The Seventh Night of July

世界中で演奏されている、酒井格氏のデビュー曲。「たなばた」というタイトルから、日本的な響きを予想していると、見事に裏切られます。軽やかにやわらかく、穏やかにやさしく、力強く華やかに、ファンタジックなストーリーを語るようにメロディーが変わります。

星のきらめきを感じさせる音も随所にみえ、高校生のときの作品ながら、8分強という手応えのある楽譜に仕上げられています。

たなばた : The Seventh Night of July
商品詳細
たなばた : The Seventh Night of July

DHP 0920450-040
●作曲:酒井格 (Itaru Sakai)
●編成:吹奏楽中編成
●演奏人数の目安:33人~
●グレード:グレード4
●演奏時間:8分35秒

森の贈り物:Legacy of the Woods

酒井格氏自身が作品紹介の中で、「『森が長い年月をかけて作り出してくれたもの。私たちがどれほど森の恵みを受けてきているのだろう』とイメージが広がっていき、この作品が生まれました」と記しています。

クラリネットソロで始まり、穏やかな森が描かれた後、行進曲で嵐の中の森が表現されます。再び光と命に満ちあふれる森が戻ってフィナーレへ。指揮者のセンスで、吹奏楽団独自の森を表現してください。

森の贈り物: Legacy of the Woods
商品詳細
森の贈り物: Legacy of the Woods

DHP 1043665-010
●作曲:酒井格 (Itaru Sakai)
●編成:吹奏楽中編成
●演奏人数の目安:37人~
●グレード:グレード5
●演奏時間:6分52秒

七五三:Shichi-Go-San

七拍子、五拍子、三拍子という訳ではありませんが、酒井格氏の作品では珍しく、変拍子が多い作品です。変拍子というハードルをクリアできれば、演奏は楽になるでしょう。

七五三らしく酒井格氏は、7歳の姉、5歳と3歳の弟という兄弟をイメージした3つの主題を展開。多くの楽器にソロがあり、次々と繋がっていく箇所もあるため、表情豊かに演奏できれば、すばらしいメロディーになるでしょう。

七五三: Shichi-Go-San
商品詳細
七五三: Shichi-Go-San

DHP 1074232-010
●作曲:酒井格 (Itaru Sakai)
●グレード:グレード4
●演奏時間:6分57秒

大仏と鹿:Daibutsu to Shika

作曲するにあたり、酒井格氏を苦しめたのが“演奏時間7分の制限。結果的にその制限が、音楽的なストーリーを生み出すきっかけとなったようです。

音に託して描かれているのは、奈良の人々、奈良の風景、大仏、そして子鹿。和風というより、どことなくシルクロードを感じさせるメロディーです。

4つのテーマの変奏により、奈良に夜が訪れ朝が来るという悠久の風景が描かれます。ストーリーを感じながら、演奏を組み立ててください。フルートには、酒井格氏渾身のソロパートがあります。思いを込めて演奏してみてください。

大仏と鹿 : Daibutsu to Shika
商品詳細
大仏と鹿 : Daibutsu to Shika

DHP 0991580-010
●作曲:酒井格 (Itaru Sakai)
●グレード:グレード5
●演奏時間:6分40秒

大草原の円舞曲:Valse of the Prairie

2月にレンタル開始となったばかりの新譜!昨年作曲されたばかりの楽譜です。この楽譜には酒井格氏の祈りにも似た思いが込められています。

委嘱の玉名女子高校が熊本にあるため、以前訪れた阿蘇山の麓にある草千里をイメージ。清々しさを感じさせる緑の大地を、ワルツに託して表現しました。

作曲が終盤にさしかかったころ、熊本地震が起こり、阿蘇地方も甚大な被害が。酒井格氏も、熊本の一日も早い復興と、再び美しい景色に出会えることを願って、残りの作曲を行ったようです。

さらに1番トロンボーンのパート譜を作っているときに、真島俊夫氏の訃報に接し、いつもなら修正する高い音をあえて残したとか。

たった一音ではありますが、真島氏へ捧げる音は、日本の吹奏楽へ大きな影響を与えた真島氏への感謝だけでなく、真島氏の吹奏楽への情熱を若い人たちへ繋ぎたいという思いを込めた音なのでしょう。

リズムを楽しみながら、清々しい景色を思い浮かべ、情感豊かに演奏してください。

大草原の円舞曲: Valse of the Prairie, Op.156商品詳細
大草原の円舞曲: Valse of the Prairie, Op.156

FML-0190
●作曲:酒井格 (Itaru Sakai)
●編成:吹奏楽中編成
●演奏人数の目安:35人~
●グレード:グレード5
●演奏時間:8分9秒

歌うように演奏したい酒井格楽曲

酒井作品のサウンドの作りにくさや、難しいと感じるのは、楽譜の中の転調の多さによるようです。“一音一音を追いかけるのではなく、歌って転調の美しさを感じるとよい”と酒井格氏自身が語っています。

同時に、指揮者が楽譜をもとにどのような演奏をするかをイメージするのが大切とも。楽譜に詰めた思いをどのようなサウンドに具現化してくれるか、酒井格氏は楽しみにしているようです。その楽団しかできない演奏で、酒井作品を楽しんでください。

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