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きらきらと情感豊かな音を紡ぐ、酒井格作品 吹奏楽5選

きらきらと情感豊かな音を紡ぐ、酒井格 吹奏楽作品オススメ5選

2020.07.07更新

高校のころのお小遣いは、すべて楽譜に消えたという酒井格氏。自分の中にある歌心を人に伝えたいという思いが、作曲の原動力だといいます。その音楽は、独自の美しさをもち、ストーリー性があります。

4歳からピアノを学び、6歳でピアノ作品を作曲した酒井格氏。高校生時代には吹奏楽部に在籍し、アンサンブルの作曲やポップスの編曲を行っています。

当時の酒井格氏の教科書だったのが、お気に入りの曲の楽譜。スコアを手に入れ、何度も読み返したそうです。

デビュー作「たなばた」はその独学の中から生まれた曲で、高校生のときに書き上げ、大学生のときに楽譜が出版されて以来、今なお愛される人気作へと昇華しました。

平成21年以降の全国選抜高校野球大会では入場行進曲の編曲も担当し、野球ファンの人気も得ています。

酒井格氏の曲は、転調が多く使われます。その転調の波は、光を感じさせるきらきらした音楽として酒井格氏のスコアに記されていきます。

たなばた |酒井格

世界中で演奏されている、酒井格氏のデビュー曲。吹奏楽ファンなら演奏したことはなくても聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?

当時、高校の吹奏楽部に所属していた酒井氏が親しんだ数多くの作品に影響を受けて書かれた作品とのこと。

軽やかにやわらかく、穏やかにやさしく、力強く華やかに、ストーリーを語るようにメロディーが移り変わります。星のきらめきを感じさせるファンタジックな作品です。

たなばた

作曲:酒井格 (Itaru Sakai)

森の贈り物|酒井格

作品紹介の中で、「『森が長い年月をかけて作り出してくれたもの。私たちがどれほど森の恵みを受けてきているのだろう』とイメージが広がっていき、この作品が生まれました」と記しています。

クラリネットソロで始まり、穏やかな森が描かれた後、行進曲で嵐の中の森が表現されます。再び光と命に満ちあふれる森が戻ってフィナーレへ。指揮者のセンスも問われる本作、幻想的で瑞々しいの森の風景を音楽で表現してください。

森の贈り物

作曲:酒井格 (Itaru Sakai)

大仏と鹿 |酒井格

作曲するにあたり、酒井格氏を苦しめたのが“演奏時間7分の制限。結果的にその制限が、音楽的なストーリーを生み出すきっかけとなったようです。

音に託して描かれているのは、奈良の人々、奈良の風景、大仏、そして子鹿。和風というより、どことなくシルクロードを感じさせるメロディーです。

4つのテーマの変奏により、奈良に夜が訪れ朝が来るという悠久の風景が描かれます。ストーリーを感じながら、演奏を組み立ててください。フルートには、酒井格氏渾身のソロパートがあります。思いを込めて演奏してみてください。

大仏と鹿

作曲:酒井格 (Itaru Sakai)

アイ・ラブ・ザ・207|酒井格

タイトルの207とは、京田辺市を通る勤電車、片町線の主力車両である207系の愛称です。

委嘱元である大住シンフォニックバンドが練習する建物のすぐ隣を走る 207系の列車が、初演のちょうど5年前の2005年4月25日に起きた悲しい出来事を二度と繰り返すことなく走り続け、たくさんの人たちの笑顔と夢を乗せて走り続ける事を願って作曲された愛らしい作品です。

アイ・ラブ・ザ・207

作曲:酒井格 (Itaru Sakai)

  • 編成: 吹奏楽中編成
  • グレード: 4
  • 演奏時間: 5分0秒
  • DHP 1125251-010 De Haske Publishing
  • 関連情報:スコアサンプル

大草原の円舞曲|酒井格

この楽譜には酒井格氏の祈りにも似た思いが込められています。

委嘱の玉名女子高校が熊本にあるため、以前訪れた阿蘇山の麓にある草千里をイメージ。清々しさを感じさせる緑の大地を、ワルツに託して表現しました。

作曲が終盤にさしかかったころ、熊本地震が起こり、阿蘇地方も甚大な被害が。酒井格氏も、熊本の一日も早い復興と、再び美しい景色に出会えることを願って、残りの作曲を行ったようです。

さらに1番トロンボーンのパート譜を作っているときに、真島俊夫氏の訃報に接し、いつもなら修正する高い音をあえて残したとか。

たった一音ではありますが、真島氏へ捧げる音は、日本の吹奏楽へ大きな影響を与えた真島氏への感謝だけでなく、真島氏の吹奏楽への情熱を若い人たちへ繋ぎたいという思いを込めた音なのでしょう。

リズムを楽しみながら、清々しい景色を思い浮かべ、情感豊かに演奏してください。

玉名女子高等学校&フォスターミュージック株式会社共同委嘱作品

大草原の円舞曲

作曲:酒井格 (Itaru Sakai)

酒井格作品集:湖の畔で|酒井格

不動の人気を誇る「たなばた」や「おおみそか」から「剱の光」まで全10作品をピックアップ。愛聴盤としてオススメの好アルバム。

歌うように演奏したい酒井格作品

いざ演奏するとなると、デリケートなハーモニーやお洒落な転調、変拍子などに手こずるバンドも多いようですが、“一音一音を追いかけるのではなく、歌ってその音楽の美しさをまず感じてほしい”と自身が語っています。同時に、指揮者が楽譜をもとにどのような演奏をするかをイメージするのが大切とも。

楽譜に詰めた思いや背景をどのようなに具現化いくかは腕の見せどころ。自分たちのバンドにしか出せないサウンドで、酒井作品を楽しんでください。

 

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