【スライドホイッスル三重奏曲】
スライドホイッスルは気鳴楽器で、奇数倍音列を持つ閉管構造の管楽器である。トロンボーンのようなスライドを持ち、これを動かすことで音を段階なしに変化させる。合奏においては多くは打楽器奏者が担当し、楽器の使用法としては効果音的な扱われ方になることが多い。音の指定の仕方は絶対音ではなく相対音による図形的な記譜が多く、本作も同様に、ほぼ全編にわたって相対音による記譜法を用いている。
楽曲構成は、テーマが奏され、次にスライドホイッスルでの演奏を前提とした性格的なモチーフが奏され、その性格とテーマが融合したものが奏され、そしてまた新しい性格的なモチーフが奏され…というリトルネッロ形式のような展開を持つ。なお、全曲中の最後にだけ絶対音による音高指定をした。楽器の一般的な使用法や冒頭からの連続性から鑑みると、この「オチ」は極めて異質に響くだろう。
スライドホイッスルという楽器はメーカーや機種によって音域、音質、吹奏感、スライドの抵抗などの個体差が大きい。よって使用楽器の選択が重要となってくるが、作曲者としては3本とも同じ種類の楽器を使用するか、3本とも違う種類の楽器を使用するかのいずれかを推奨したい。
【スライドホイッスル二重奏のための「カプリチオ」】
スライドホイッスル二重奏のための「カプリチオ」は、楽器の持つキャラクターを活かしたコミカルな小品である。1分にも満たないこの小品はアットホームな機会やアンコールに最適。使用楽器の選択は、2本とも違う種類の楽器を使用するのを推奨する。(山本哲也)
国立音楽大学大学院修士課程作曲専攻、フランス・リヨン国立高等音楽院第2課程作曲科、ベルギー・モンス王立音楽院修士課程指揮科を修了。
これまでに久石譲主宰「Music Future Vol.9」第4回Young Composer's Competition優勝、第14回オルレアン国際ピアノコンクール作曲部門A.シュヴィロン=Y.ボノー作曲賞、イル=ド=フランス国立管弦楽団の作曲コンクール「 le de cr ations 2018」優勝、第6回A.ドヴォルザーク国際作曲コンクール第1位および特別賞、日本現代音楽協会第27回現音作曲新人賞などを受賞。
2024年10月にはベルギー・シャルルロワで開催された第42回アンドレ・シャルリエピアノコンクールの課題曲に『ソリチュード』が選出、2018 年にはラジオフランスの番組「Cr ation mondiale」にて、オーケストラ作品『In the circle...』を中心とした特集が放送された。
2025年現在、国立音楽大学非常勤講師、日仏現代音楽協会会員、アンサンブル・リカレンス音楽監督/指揮者。
WEB: http://www.tetsuyayamamoto.net
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