楽曲構成:全4楽章
I. アレグロ・ソナタ形式 Allergro Gr.3 (3:30)
II. アンダンテ Andante Gr.2 (1:30)
III. メヌエット Menuetto Gr.2.5 (1:10)
IV. ロンド形式 Presto Gr.3 (2:40)
第21回 響宴 「スクールバンド・プロジェクト」の委嘱により2017年に作曲しました。
本企画は中高の学校吹奏楽のための開発であるということで、できるだけ西洋音楽の基礎を顧みられるもの、またこれまであまり作曲されていないものをと思索していました。作曲の前年(2016年)、大変珍しいことに、2曲の「交響曲」の制作(1つは岸田繁氏(くるり)作曲「交響曲第一番」の譜面制作およびオーケストレーション補、もう1つは子供コンサート用の唱歌の交響曲風編曲)に携わったこともあり、それでは今回はオリジナルの交響曲を、さらに折角なので大好きなハイドンのスタイルを取り入れて作曲しようと思いました。
本曲は概ね古典派の伝統に基づき、アレグロ・ソナタ形式、アンダンテ、メヌエット、ロンド形式の4楽章からなります。
第1楽章…アレグロ・ソナタ形式。冒頭から主調(Es dur)で第一主題、[C]から属調(B dur)で第二主題が登場し、[E]から展開部、[H]から再現部と、概ねソナタ形式のセオリー通りに進行します。
第2楽章…アンダンテ。概ね4声部からなる、対位法的な書法のコラールです。本楽章は演奏技術的に比較的易しく、基本的に4声を各楽器に展開して少人数の演奏に対応したものなので、例えばバンド内の1年生のみでの演奏としても良いでしょう。
第3楽章…メヌエット。伝統的な形式に則った3拍子の楽曲です。曲の終わりの和音がそのまま4楽章冒頭の和音へ解決します。
第4楽章…ロンド形式。[F]から何度か繰り返される主題の間に、他の楽章のメロディがエピソードとして再現されます。第2楽章が再現される場所では、ここを少人数で演奏している場合、同じ仕掛けにしても良いでしょう。
打楽器パートはティンパニ以外オプションとなっていますが、これは古典的な楽器法に基づいて、ティンパニのみで楽曲が成り立つよう構成しているという意図です。そのほかの打楽器は上から順番に追加するほど、曲のサウンドがモダンになります。
委嘱をいただきました"響宴"実行委員会の皆様、試演を引き受けてくださった、さいたま市立与野南中学校吹奏楽部の皆様、石川惇史先生、黒川圭一さん、そして初演して下さった埼玉県立伊奈学園総合高等学校吹奏楽部の皆様と宇畑知樹先生に感謝いたします。
(三浦秀秋)
■スクールバンド・プロジェクトについて
2014年に開催された第17回 響宴 より教育的な内容の吹奏楽作品の開発・発信を目的としたプロジェクト。
教育的な作品とは、
・技術的にはグレード2.5 3程度の、しかし音楽的には内容の高い作品
・25名かそれ以下で演奏可能な作品
・コンクール、コンサート、各種行事における演奏に好適な作品
・音楽の形式、スタイル、文化的背景、表現や演奏技術の基礎を学ぶことができる作品
・演奏時間が6 8分の作品
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