アイルランドの豊かな歴史と伝承を題材に、ロバート・W・スミスが描き出した壮大な物語音楽。3つの城とそこにまつわる人物や出来事を題材とし、民族色あふれる旋律とスケールの大きなサウンドで構成された作品です。
第1部では、アイルランドの英雄ブライアン・ボルーが題材となります。彼は11世紀初頭に実在した王で、敵に対しても高潔さを保ち、戦わずして誇りを守った逸話が語り継がれています。この場面では「Brian Boru’s March」の旋律が用いられ、6/8拍子の軽快な行進曲として、勇敢で誇り高い軍勢の姿を描きます。
第2部は、女海賊グレース・オマリーとカリックハウリー城の物語。海を望む岩場に築かれたこの城は、彼女が交易や海賊行為の拠点とした場所です。彼女は結婚を策略として利用し、夫となったリチャード・バークの城をわずか1年で奪い取ったと伝えられています。音楽は、このユーモラスで痛快な逸話を、ロマンティックな色彩を交えながら生き生きと描写します。
第3部は、度重なる攻防を受けたカヒール城を舞台にした壮大な戦闘のシーン。打楽器群が二つの軍勢に分かれて対峙し、木管には「軍曹アーリーのジグ」、金管には「若い娘の嘆き」が織り込まれ、混乱と熱気に満ちた戦いが展開します。しかし最終的には、クロムウェルの史実に基づくように、両軍は武器を収め、誇りを保ちながら退却していきます。
この作品は、ティンホイッスルやアイルランド太鼓ボウランといった民族楽器の響きを取り入れることで、アイルランド特有の音楽的色彩をより鮮やかに表現しています。また、重厚な打楽器の使い方や旋律の重なりによって、スミスならではの豊かな音響イメージが広がり、聴く者に強烈な印象を与えます。
《Ireland: Of Legend and Lore》は、1996年3月にイースト・テネシー州立大学ウィンドアンサンブル(指揮:ポール・ヒンマン)のアイルランド演奏旅行のために委嘱され、作曲者自身も現地で指揮を務めました。初演以来、演奏会やコンクールで取り上げられ、プログラムに壮大な物語性を添える作品として高く評価されています。
歴史と伝承が交錯するアイルランドを舞台に、勇気・策略・戦いと和解を音楽で描き出したこの作品は、観客を物語世界へと引き込む強い力を持っています。壮大な演出効果を求めるコンサートや、印象的なレパートリーを探すバンドにぜひおすすめしたい一曲です。
掲載商品の価格は、出版社の価格改定や為替レートなどの諸情勢により予告なく変更する場合がございますのでご了承ください。
Robert W. Smith has chosen three castles and several colorful characters known for legendary deeds from Irish history and folklore to put to music. The use of tinwhistle, the Irish drum bodran and hints of traditional Irish melodies add ethnic authenticity and fascination to the performance of this work. As we have come to expect from this highly inventive composer, the arena of sounds is expanded at every turn of the page. Musical imagery at its finest! (6:59)
14s94y26v3wg
〈9月〉会員限定クーポン(対象商品:フォスターミュージックの出版物)
対象カテゴリ
会員限定
¥1,000 OFF
残発行枚数:97
下限金額:¥5,500
有効期間:2025/09/01 ~ 2025/09/30