本書では、その思いを叶えるべく、ユーフォニアムの技術向上のために特に必要と思われることをまとめました。
ただし、この練習をすればすぐに上達するという特効薬のような本ではありません。演奏技術は、こつこつと毎日積み重ねていくことによって上達するものだと信じています。
そのような思いを込めて、本書を「Long Distance Running - One Step at a Time -」というタイトルにしました。
思い出してみてください、楽器を初めて手にしたあの日のことを。楽器を始めたきっかけや理由は様々かもしれませんが、毎日の練習で徐々に吹けるようになっていくとともに、音楽が好きになり、楽器がもっと好きになる。演奏ができるようになると、周りの人たちとアンサンブルを奏でることが楽しくなる。楽器を演奏するということは、「好き」や「楽しさ」、「人との繋がり」や「世界」がどんどん広がる、とても素敵なことだと思います。
さて、話は変わりますが、僕が育った時代と今の時代とで、大きく異なることが2つあります。
1つ目は音楽媒体です。
黒い大きなレコードからCD に代わったのは、僕が高校生の頃です。「レコードが擦り切れるまで…」という表現は今の人たちに通じるのでしょうか? 交響曲を聴くのにA 面からB 面に裏返したり、次のレコードに替えなければならず、大変不便な思いをした記憶があります。
当時はレコードをわざわざ裏返すことなく、交響曲の第1 楽章から最終楽章まで一気に通して聴いてみたいというささやかな願いを持っていました。その後、CD が発売されたことで僕の願いは叶い、レコード特有の「プチプチ」というノイズがない、クリアな音で交響曲を聴くことが当たり前になりました。
今やパソコンやスマートフォンで、クリックすれば自分の聴きたい音源がすぐ手に入る便利な時代です。ぜひ、名プレイヤーの演奏や多くのジャンルの音楽に触れて、ご自分の音楽の世界を広げてください。
2つ目は録音方法です。
大きなラジカセで録音していたのは昔の話。僕の時代はDAT やMD を使っていましたが、今はハードディスクやスマートフォンにとって代わりました。
媒体は代わっても、自分の音を録音して客観的に聴くのは、技術の向上のためにとても必要なことです。録音をたくさんして自分の音のイメージを持って練習してみましょう。自分の録音を聴くことで、発見があり、発展があると思います。
僕も若い頃、上手になりたいと無我夢中で毎日練習を積み重ねていました。
僕はこの本に書いてあるロングトーンやリップスラーを毎日毎日練習しました。もちろん今でも毎日バズィング、ロングトーン、リップスラー、スケール、アルペジオetc. 時間に合わせて練習を組み立て、その日の仕事や予定されているコンサートに間に合うように準備します。
僕は練習をしている時に何を考えて練習していると思いますか?
もちろん1 つではなく色々なことを考えています。例えば息の流れや音の出だし、音色……言い始めたらキリがありません。
今回この教則本で、自分がこれまで練習してきたことや自分の考えをみなさんにお伝えしたいと考えました。
何事も十人十色と言いますが、まさに楽器の奏法にもそれぞれの考え方があり、一概にこれが正しいとはいえません。しかも楽器を吹くという、体と耳を使って行わなければならないものを言葉で伝えるということに難しさを感じますが、本書がみなさんの練習の一助となれば幸いです。(外囿 祥一郎)
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