2010年秋、皇居内書陵部での展覧会で偶然目にした一枚の絵。そこに描かれていたのは、年老いた竹取の翁が、手の平にのせた小さなかぐや姫を愛おしそうに見つめる姿でした。絵を見ていると、不思議とどこからか聞こえてきたのはTINTSが演奏するトロンボーンの響き。
2007年冬にTINTSと出逢った私は、その後も何度となく作品を提供するうちに、次第に彼女たちの魅力に惹かれていきました。確かな演奏テクニックと豊かな表現力。そしていつも音楽に対する真摯な姿勢を忘れない4人の若き女性トロンボニストたちのために、彼女たちの持ち味である柔らかく透明感のある音色を生かして、かぐや姫とその物語を表現したい・・・。そう強く思うようになりました。のちに、TINTSから10周年記念公演のための作曲の依頼を受けた際に、私は迷わずその新作のアイデアを彼女たちに伝え、早速創作に取りかかりました。
「竹取物語」作曲にあたっては、まず原文を手に取り、同時に星新一氏の口語訳を読みながら、次第にかぐや姫とその世界に対するイメージを膨らませてゆきました。そして、物語を読み終えると、それまでに自分が描いていた「かぐや姫」のイメージとは異なるもう一人の「かぐや姫」が私の中で動き始めました。本作品、組曲「竹取物語」では、かぐや姫の美しくもせつない物語が五つの場面で構成されています。 日本古来よりの雅な世界を味わいながら演奏して頂けましたら幸いです。
初演:2013年11月22日 Trombone Quartet TINTS 10周年記念公演
於 三鷹市芸術文化センター 風のホール
香川県高松市生まれ。広島市出身。
4歳からピアノを始め、中学高校時代では部活動で合唱に熱中。高校二年より和声学・作曲理論を学び始め1982年東京藝術大学音楽学部作曲科へ。卒業後の1987年、パリ・トロンボーン四重奏団初来日の際にアンコールピースとして「夕やけこやけ」「わらべうた」を提供して以来、トロンボーンに関わる作品が多い。
トロンボーン四重奏のための「パスピエ」「メモリーズ」「スクエアダンス」「古都三景」「出逢いは、はじまり」「ふるさとのうた」「四季の詩」「ハナミズキの祈り」「砂の丘を越えて」など、またトロンボーンとピアノのための作品として、ミシェル・ベッケ氏のソロアルバムにも収録されている「幻想五木の子守唄」をはじめ、ソナタ「風花賛礼」「夜の静寂に」「春の呼ぶ声を聞く」などがある。合唱曲としては、落語を主題にした「時そば」(混声合唱)、女声合唱組曲「京都の恋(詩:黛まどか)」「花だより(詩:高橋うらら)」など。ピアノ曲としては「ピアノ発表会物語」がピティナ・ミュッセ(インターネット上の楽譜配信サービス)にて好評配信中。
1998年に広島で行われた国民体育大会では、開会式・閉会式のファンファーレを作曲。一般社団法人全日本ピアノ指導者協会正会員。
※高嶋の「高」は、はしごだかが正式です。システム上表示ができないため代用しております。
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