「幻想曲《甑岩》～トランペット・ピアノ・パーカッションのための～」：大森愛弓 [トランペット3重奏]

「幻想曲《甑岩》～トランペット・ピアノ・パーカッションのための～」

「甑岩」は、西宮市にある越木岩神社のご神体です。高さ約10ｍ、周囲約40ｍの巨大な霊岩で、西暦600年～700年頃の大地震を機に、大地の神様を祀ったことが神社の始まりと言われています。そのお膝元では有名な”だんじり祭”があり、シーズンには法被（はっぴ）を着た人々の威勢の良い掛け声とお囃子が街に響きます。
　作曲にあたって、もっとも大きなインスピレーションを得たのは、「土地の神様はだんじり車に乗っており、人々が幸せに暮らせているかを見ている」という旨の記述*を見たときでした。お互いに身近で遠い、土地の神様と人々とが、関係をこえ、時をこえて、甑岩を通しての祈りで繋がり、お祭を楽しんで・・・。この文化を、作品として、音楽で語ってみたいとわくわくし、作曲の軸を決めたのでした。
　曲は冒頭、静かに歌うようにピアノの左手に現れる神様のテーマと、数分後にトランペットで始まるリズミカルな人々のテーマで成り立っています。二つの役が、様々なハーモニー、リズムに形を変えてあちこち顔を出し、クライマックスで遂にはっきりと共生します。主に人々とともに現れる太鼓のリズムは、祭のお囃子をアレンジして使用しています。
　ところで、トランペットは、直線的で煌びやかな音の他に、人の声のように表情豊かな音色を出せる楽器です。フランス生活ではよく教会のミサを見学に行きますが、すると、祈ること・歌うことの関係を特に感じます。こうしたヨーロッパ文化の中で育まれた楽器であるということ、祈りと歌・・・それらも念頭に作曲しました。
　この幻想曲の世界を、土地の神様も面白がってくれると良いのですが。
*越木岩神社公式ホームページより

仕様

楽器編成

主要ソロ：Piano

小型和太鼓またはカホン、サスペンションシンバル、風鈴)

修正情報

：Composer: Ayumi OHMORI

Specifications

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