クラリネットアンサンブルの「影」シリーズは、嵐影から始まり、宵影、波影、紅影、そして今作の黎影で5作目となります。「黎」という字には、暗く、青黒いという意味があります。「影」という言葉にも通ずるものがあると思い、タイトルとして選びました。「黎明」という言葉に響きが似ていることも決め手となりました。
アンサンブルによる音の集合体は、時にエネルギッシュでドラマチック、そして時には破壊的でもあります。この破壊的な部分も、曲の表情のひとつとして楽しんでいただけましたら幸いです。
各フレーズを分散して演奏する部分では、吹き方を揃える事で立体的な音響効果が期待できます。楽譜上は大変シンプルですが、息の使い方次第で様々な演奏表現が可能です。色々と試しながら曲作りを行ってみてください。この曲に相応しい息の使い方については、以下のような事を考えてみるとよいでしょう。上質な演奏に仕上げる大きなポイントになると思います。
・直線的な息 
・ウネリのある息 
・明るい息 
・短い音にしっかり息を入れる 
・フレーズにおいて一息で表現する場合は「ここ!」という箇所で瞬間的に息を入れる
長きにわたり、多くの皆様に「影」シリーズを演奏していただきましたことを、ありがたく思います。クラリネットアンサンブルの可能性をこれからも追求していく所存です。どうぞ次回の新作にも、ご期待ください。
結びに、「黎影」の初演に際して、石川県・白山市立北星中学校吹奏楽部の6人のメンバーをはじめ、顧問の木下 典子 先生、クラリネット奏者の山岡 順子 先生には多大なる御支援、御指導を賜りました。この場をお借りしてお礼申し上げます。
(片岡寛晶)
1983年・福岡県飯塚市生まれ、東京都在住。
東京音楽大学を卒業後、朝日作曲賞に入選。自作曲【天馬の道】が、全日本吹奏楽コンクールの課題曲に選出された。その後、数々の作品が海外に広がりMidwest ClinicやWASBE(世界吹奏楽協会)のカンファレンスにおいて、打楽器をメインとしたオーケストレーションが評価され、多くの支持を得た。手掛けた作品は各レーベルより出版され、音源、映像等は多数。2015年・海上自衛隊横須賀音楽隊、2018年・海上自衛隊東京音楽隊の手によって、片岡 寛晶 作品集のCDがブレーン社より発売となった。2019年・2022年には、全日本吹奏楽コンクール作曲者別ランキング(小編成)にて1位を獲得。また、台湾の吹奏楽コンクールにおいては、最も演奏された作曲家の一人として話題になった。
近年では、教育本の著書、子供向け作品の提供をはじめ、校歌や市民歌の作曲、ブライダル音楽のプロデュース等も行う。
東京成徳大学非常勤講師、北九州マリンバオーケストラRIM音楽監督。
2bv4blgndh34
〈11月〉会員限定クーポン(対象商品:フォスターミュージックの出版物)
対象カテゴリ
会員限定
¥1,000 OFF
残発行枚数:83
下限金額:¥5,500
有効期間:2025/11/01 ~ 2025/11/30