バレエ「白鳥の湖」はモスクワの帝国劇場の依頼で作曲されました。悪魔ロットバルトの呪いで白鳥にされたオデットに恋した王子が、騙されて悪魔の娘オディールに愛を誓わされてしまい、最後は悪魔との直接対決でめでたし。という有名なストーリーですが、初演から138年、ストーリーも振り付けも配役も違うバージョンが、主なものでも10以上もあるらしいです。学生時代、ハッピーエンドしか知らなかった私は、上野の文化会館で、荒波に飲まれ沈んでいく王子とオデットを見て腰が抜けてしまいました。どうやらそれがオリジナルに近いらしいです。
I.Introduction:幕前の序曲です。出だしの伴奏四分音符は短くならないよう表情豊かに演奏しましょう。Cからの三連符は埋もれないように。
II.The Prince's birthday party:幕が上がります。アタッカで始めても良いと思います。十六分音符のタンギングが大変ですが、うまくいかない場合はスラーにして、テンポを優先しましょう。Cからのメロディーはスタッカートにならないように少しなめらかにしましょう。
III.Pas de trois:第1幕第1場のヴァリアシオンです。リズムが流れないようにするとバレエっぽくなります。フォルテの所でもエレガントに演奏しましょう。
IV.Pas de deux:第2幕オディールのアダージョはエスクラの長いソロです。Aからはルバートを工夫して演奏してください。Eからは第2幕のヴァリアシオンです。Fの8小節前からaccelしても良いと思います。Fからややテンポを落とすと良いと思います。リズムが滑らないように楽しく演奏してください。Hから最後にかけてaccelも良いと思います。
V.Finale:第2幕の終曲です。六連符はアクセントが付かないように。Aまでの1stと2ndは、ダブルタンギングでトレモロしても良いと思います。
VI.Odette's solo:第1幕第2場の情景です。調号が多いので音程が難しいですが、優雅に演奏してください。
VII.Dance of the cygnets:四羽の白鳥の踊りです。メロディーは三十二分音符で、テンポが走りやすいので注意してください。
VIII.Entrance of Odiel and Rothbart:最初の2小節はスラーでもかまいません。Bはトランペットのファンファーレです。Cからはドラマティックに一気に駆け抜けてください。
IX.Pas de six:音楽が流れすぎないように、一歩一歩立ち止まるように演奏してください。Cからの十六分音符はテヌート気味に。
X.Czardas:第2幕のハンガリーの踊りです。チャールダーシュのゆっくりした部分はアゴーギクをしっかり生かして表情豊かに、速い部分との差をつけましょう。シャープが多いのでA管がほしいくらいですが、スピード感のある演奏にしてください。
パッツァのリサイタルで「PAZZAの劇音楽シリーズ第6弾」としてアレンジしました。実際に踊っている姿を想像してバレエ音楽の面白さを十分味わってください。
※参考動画はまだありません。演奏動画を掲載させていただける方はぜひご連絡ください。
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