ある北の暗い海に、身ごもった人魚が棲んでいた。人魚はあまりにも海が寂しいので子供がかわいそうだと思った。人間が優しい心を持っていて、町は楽しい所だと聞いていたので、海辺の町の神社に行って、子供を産み落とすことに決めた。
翌朝、人魚の捨て子はろうそく屋の老夫婦に拾われた。その子はとても大切に育てられ、美しい娘に成長した。人魚の娘が白いろうそくに赤い絵を描くと、たちまち評判となり、ろうそく屋は繁盛する。神社に納めたろうそくを灯して漁に出ると、時化(しけ)でも無事に帰ってくることができ、ますます人気になった。 評判を聞きつけた行商人が人魚に目をつけ、老夫婦に娘を売ってくれるように頼んだ。最初のうち老夫婦は娘を手放そうとしなかったが、「昔から人魚は不吉なもの」という言葉と、大金を前にして、手放すことにした。娘は老夫婦の元を離れたくないと懇願するが、老夫婦は耳を貸さず、ある月の明るい晩、娘は赤く染めたろうそくを残して、連れて行かれた。
その夜、老夫婦の元に、ずぶ濡れの女が現れ、赤いろうそくを買って行った。すると海が荒れ狂い沢山の船が転覆し、娘の乗った船も沈んでしまった。それからというもの、神社に赤いろうそくの灯がともると、不吉なことが起こるようになった。老夫婦は神様の罰が当たったのだと考え、ろうそく屋をやめてしまった。ろうそく屋がなくなってもその呪いは収まらず、神社も人が途絶え、数年後その町は滅びてなくなってしまった。
これまで《タランテラ》《土蜘蛛伝説》など木管8重奏をいくつか作曲してきました。この作品は美しい旋律とハーモニーが特徴です。子を想う母の気持ち、娘の美しい姿、そして不吉な予感、人間の欲深さ、荒れ狂う海など、様々な場面を想像して表現をしていただけると嬉しいです。(松下倫士)
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