中学3年生の時、吹奏楽部でウィリアム・H・ヒル作曲の《セント・アンソニー・ヴァリエーションズ》を吹奏楽コンクールの自由曲として選曲していた私は、天理高等学校吹奏楽部が1985年に全日本吹奏楽コンクールで金賞を受賞した名演を毎日のように聴いていました。その指揮者であった憧れの新子先生にお会いできたのは、佐賀県吹奏楽コンクールの審査員をご一緒した時でした。まだデビューしたての新人の私に対し温かく接してくださるばかりでなく、お食事をしながら貴重なお話をたくさん伺えたことは、当時の私にとって何よりの励みになりました。その後、私がアジア諸国で活動していく過程でも、現地に精通されていた新子先生から多くのご助言をいただき、不安を抱えていた私の背中を押してくださいました。
私は直接の教え子ではありませんが、このように多感な時期であった中学時代に新子先生の音楽に触れ、その想い出が作曲家を目指すきっかけの一つとなり、数々の激励とご助言をいただいて音楽家としての今があります。そんな感謝の気持ちを込めて「不滅・不老不死」の花言葉を持つ《アマランサス》をテーマにコラールを作曲しました。演奏会はもちろん、歌心を養う教材としても広く親しまれることを願っています。
(八木澤教司)
兵庫県西宮市在住。武蔵野音楽大学作曲学科卒業、同大学大学院音楽研究科修士課程修了。吹奏楽やアンサンブルの代表作は日本のみならずアメリカ、ヨーロッパ、アジア諸国、南米でも重要なレパートリーとなる。
2019年11月9日、天皇陛下御即位奉祝記念式典・国民祭典において天皇皇后両陛下「お出迎えのファンファーレ」として、東京2020パラリンピック開会式の式典音楽として作品がそれぞれ抜擢された。その他、ヨーロッパで歴史的権威のあるスペイン・バレンシア国際吹奏楽コンクールの課題曲に作品が選定、ミステリー映画「ソロモンの偽証・後篇」では「輝きの海へ」が挿入曲として使用されるなど活動は多岐に亘る。これまで全国植樹祭、全国高等学校総合体育大会、国民体育大会の式典音楽制作を歴任。各種コンクール審査員、客演指揮、指導、講演、音楽雑誌執筆に加え、音楽出版社のプロジェクトアドバイザーなどを務める。
合唱曲として手がけた「あすという日が」は、希望の歌、東日本大震災復興シンボル曲と称され、2011年第62回NHK紅白歌合戦において夏川りみ、秋川雅史の両氏によって熱唱された。第21回日本管打・吹奏楽 アカデミー賞 作・編曲部門(2011年)受賞、平成23年度 JBA下谷奨励賞を受賞。
2020年度より関東から関西に拠点を移し、神戸女学院大学音楽学部で作曲・音楽理論・吹奏楽の指導にあたる。
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