本作品は、2016年初頭に打楽器奏者の西久保友広氏より依頼を受け、マリンバ独奏のための作品として編曲したものです。同年8月21日ハーモニーホールふくい「サマー・マリンバコンサート2016 音の戯れ 」において西久保氏の演奏により初演されました。
原曲は作曲家寺島尚彦氏(1930~2003年)による歌曲で、1964年沖縄戦跡国定公園「摩文仁(まぶに)の丘」を訪れた寺島氏が、第二次世界大戦末期に地上戦が繰り広げられた沖縄戦での惨状を知り、自ら作詞も手がけ11連からなる長大な歌詞を持つ作品として書き上げました。
これまでに数多くの歌い手により歌い継がれており、曲中に何度となく繰り返されるさとうきび畑に吹く風の音を表現した「ざわわ ざわわ ざわわ」という歌詞を耳にしたことのある方も多いことでしょう。演奏の際には、ぜひ原曲の歌詞の全編に触れ、この作品に込めた寺島氏の想いを十分理解した上で演奏に取り組んでください。
編曲にあたり、43小節アウフタクトから53小節の部分では、歌詞の8連目[銃弾に打たれて自分が生まれる前に命を落とし会うことも叶わない父を「お父さん」と呼んでみたいと願う主人公の深い哀しみ]を想いながらアレンジしました。
風に吹かれて揺れるさとうきび畑の下には、いまなお多数の戦死者、自決者が眠っています。その事実を、今を生きる私達は決して忘れることなく心に刻みつけて生きていかねばならないと、そう強く思うのです。(2017年12月 高嶋圭子)
●演奏上のアドバイス
冒頭の5本マレットが難所ですが、右手に3本持ったほうがやりやすく感じると思います。5和音のロールの箇所は下から「左外声、右内声、左内声、右中声、外声」の順におさえるとやりやすいと思います。個人差があると思うので色々と試してみてください。
練習番号Aからは低音の響きにメロディを乗せる意識で演奏できるといいですね。いわゆる「伴奏部分」のみを独立して練習してみるのもいいと思います。
練習番号B、 Cと伴奏のリズムが変わっていきますが、そのリズムの「推進力や躍動感」を大切に演奏しましょう。半音の動きの「漂う雰囲気」を味わえるといいですね!
44小節目からは全体的にたっぷりと、ロールが早くなりすぎず「響き」を重視して演奏しましょう。Dの転調も意識して広がりが出るといいですね!Eからは昔を懐かしむような雰囲気を作るようにしてみましょう。(西久保友広)
香川県高松市生まれ。広島市出身。
4歳からピアノを始め、中学高校時代では部活動で合唱に熱中。高校二年より和声学・作曲理論を学び始め1982年東京藝術大学音楽学部作曲科へ。卒業後の1987年、パリ・トロンボーン四重奏団初来日の際にアンコールピースとして「夕やけこやけ」「わらべうた」を提供して以来、トロンボーンに関わる作品が多い。
トロンボーン四重奏のための「パスピエ」「メモリーズ」「スクエアダンス」「古都三景」「出逢いは、はじまり」「ふるさとのうた」「四季の詩」「ハナミズキの祈り」「砂の丘を越えて」など、またトロンボーンとピアノのための作品として、ミシェル・ベッケ氏のソロアルバムにも収録されている「幻想五木の子守唄」をはじめ、ソナタ「風花賛礼」「夜の静寂に」「春の呼ぶ声を聞く」などがある。合唱曲としては、落語を主題にした「時そば」(混声合唱)、女声合唱組曲「京都の恋(詩:黛まどか)」「花だより(詩:高橋うらら)」など。ピアノ曲としては「ピアノ発表会物語」がピティナ・ミュッセ(インターネット上の楽譜配信サービス)にて好評配信中。
1998年に広島で行われた国民体育大会では、開会式・閉会式のファンファーレを作曲。一般社団法人全日本ピアノ指導者協会正会員。
※高嶋の「高」は、はしごだかが正式です。システム上表示ができないため代用しております。
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