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作家の歌川広重(1797年-1858年)による「各所江戸百景」という一連の木版画にインスパイアされたもので、それぞれの楽章のタイトルは版画の題名から取っています。
曲はアーチ型(ABCBA)の5つの動きに分けられます。つまり、個々のセクションが対称に配置されているという構造です。
3楽章のアダージョはシンフォニー全体の中心として機能し、またそれ自体も対称的な構造を持っています。さらに、1楽章と5楽章はお互いを反映しながら、長さも等しくなるように設計されており、建築的な要素を強く感じます。
全体を通して「津軽甚句」「しゃしゃり(ねんねこしゃっしゃりませと推測される)」「博多の子守歌」「八岐大蛇(ヤマタノオロチ)」など日本の伝統的なメロディが多くテーマに用いられており、江戸の美しさに微妙な郷愁を染み込ませた歌川広重の世界が見事に音楽で表現されています。
45分という壮大な交響曲ながらも、その長さをまったく感じさせない圧巻の仕上がりです。
I. The Pagoda of Zojoji Temple
増上寺塔赤羽根(ぞうじょうじとうあかばね)
II. The City Flourishing
市中繁栄七夕祭(しちゅうはんえいたなばたまつり)
III. Temple Gardens at Nippori
日暮里寺院の林泉(にっぽりじいんのりんせん)
IV. Cherry Blossoms along the Tama River
玉川堤の花(たまがわづつみのはな)
V. Senju Great Bridge
千住の大はし(せんじゅのおおはし)
2018年12月9日初演
演奏:Civica Filarmonica di Lugano
指揮:フランコ・チェザリーニ
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