この曲は2006年に僕が常任指揮者を務める八戸ウインドアンサンブルのダブルリードの仲間のために書きおろした4重奏(オーボエ、イングリッシュホルン、ファゴット2人)を2007年にサックス5重奏に書き改めたものです。
曲の題名「ソナチネ」とは小さなソナタのこと。題名の通り典型的な楽曲ソナタとなっています。楽曲ソナタとソナタ形式は異なります。
通常、楽曲ソナタとは第1楽章にソナタ形式を用いた器楽曲のことを指します。楽曲ソナタの一般的な楽章構成は、第1楽章がソナタ形式)、第2楽章がゆっくりの2部形式または3部形式、第3楽章はスケルツォまたはメヌエット、そして第4楽章がロンド形式またはソナタ形式となります。互いにモチーフの関連を持った4つの楽章が計算された構成のもとに配置されます。
過去の有名な作曲家の作品、ピアノソナタとかヴァイオリンソナタと名前のついた作品のほとんどは楽曲ソナタですし、弦楽四重奏曲、ピアノトリオ、あるいは交響曲などの殆ども楽曲ソナタの構成でかかれています。
さてこの曲、第1楽章はもちろん古典的なソナタ形式です。序奏の後から始まる提示部、動機的関連をもちながらもキャラクターの異なる第1テーマと第2テーマをしっかり吹き分けるとよいと思います。展開部の後の再現部の入りは再現部に入った開放感を表現してください。
第2楽章は3部形式の緩徐楽章とやはり3部形式のスケルツォが一つにつながったものです。ですから、1つの楽章ではありますが内容的には2つの楽章となります。前半のゆっくりの部分は優しく繊細に、後半の早い部分は一気に突っ走る感じで。
第3楽章はロンドソナタ形式。A-B-A-C-A-B-Aにコーダが付いています。AとB、AとC、各部のキャラクターの違いをはっきり演奏に反映させてください。
この曲を演奏するにあたって、ソナタ形式、2部形式や3部形式、スケルツォやメヌエット、あるいはロンド形式などについて調べたり、学んでみるのもよいと思います。クラシックをアレンジした吹奏楽の作品はもちろん、新しい吹奏楽のオリジナル作品を演奏する際にも、曲の構成を活かした演奏するためのヒントが得られると思います。
(飯島俊成)
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