鏡野吹奏楽団から委嘱三作目となるこの曲の打診を頂いたのは、2012年、それまで私と同団との連絡窓口であった岡上さんの訃報と共にでした。
ピッコロ奏者であった彼女は、入院中の病院から外出許可を取って定期演奏会に参加。曲間で酸素吸入を受けつつ車いすで演奏し、その5日後に39歳の若さで旅立ちました。
楽団を愛し、いつも明るかった彼女は、死と向き合い、何を見ていたのでしょうか。残された者にその心中は計り知れませんが、作曲中、私の頭には彼女からもらった最後のメールにあった一文が常にありました。「ガンを患っても続けてしまう、鏡野吹奏楽団の魅力。どれだけ、団の存在に救われたかわかりません☆」
タイトルは「楽団は岡と共に鳴る」という意味の英題を日本語に再訳したものです。受け入れ難いものを受け入れた先が明るいものであると、信じています。
2013年に完成。5月19日に行なわれた鏡野吹奏楽団・第36回定期演奏会において弘田靖明の指揮により初演。
なお、打楽器にある「damaged music box」は「壊れたオルゴール」のことで、手回し式のオルゴールのドラム部分の突起を削り取ったもの2台を指定しています。これは「特定の楽曲として認識されない」ようにドラムを削り、その上で発音数が少なくなることを避けるために2台としています。もし、同様の効果が得られるのであれば、必ずしもオルゴールを傷つけたり、2台とする必要はありません。要は、オルゴールの音色でランダムに発音されればよいのです。この録音では、シートに穴を空けて音高と発音タイミングを自分で設定できる「オルガニート」という楽器を使用しています。
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