パリ・トロンボーン四重奏団の初来日は、今から25年前の1987年のこと。日本各地のコンサートやクリニックでは行く先々で多数の聴衆を魅了し、「二年後にまた来るよ!」と言って去って行った彼等に、私はその時のために新曲を書くことを約束しました。
パリトロの初来日での衝撃的なコンサートを聞いた私は、彼等には音域の制約以外には素早い跳躍や繊細なパッセージ、限りなくなめらかな旋律・・・何一つとして不可能なものはないのだ、と確信しました。そして、それまでにトロンボーンという楽器に抱いていたイメージを一掃し、まったく自由な発想でトロンボーン四重奏のための作曲に取り組み、そうして出来上がったのが本作品、トロンボーン四重奏のための「パスピエ」です。
彼等は約束通り、二年後の1989年に再び日本を訪れました。東京での公演の数日前、スタジオでの練習に私も立ち会いましたが、彼等は飛行機での長旅の疲れも見せず、終始にこやかに、そして軽々と吹いてみせてくれました。パリトロのサウンドが広がった瞬間、作曲中に抱いていた不安は一瞬で吹き飛び、代わりに言葉では言い表せないほどの充足した時間が広がっていったのでした。
「パスピエ」とは元来17世紀のフランス宮廷で流行した舞曲につけられた名称です。しかし、その由来にとらわれることなく自由に、そして穏やかな序奏の後に現れる主題は軽快かつ躍動的に演奏して下さい。
数多くの素晴らしいサウンドに出会えることを楽しみにしています!(高嶋圭子)
香川県高松市生まれ。広島市出身。
4歳からピアノを始め、中学高校時代では部活動で合唱に熱中。高校二年より和声学・作曲理論を学び始め1982年東京藝術大学音楽学部作曲科へ。卒業後の1987年、パリ・トロンボーン四重奏団初来日の際にアンコールピースとして「夕やけこやけ」「わらべうた」を提供して以来、トロンボーンに関わる作品が多い。
トロンボーン四重奏のための「パスピエ」「メモリーズ」「スクエアダンス」「古都三景」「出逢いは、はじまり」「ふるさとのうた」「四季の詩」「ハナミズキの祈り」「砂の丘を越えて」など、またトロンボーンとピアノのための作品として、ミシェル・ベッケ氏のソロアルバムにも収録されている「幻想五木の子守唄」をはじめ、ソナタ「風花賛礼」「夜の静寂に」「春の呼ぶ声を聞く」などがある。合唱曲としては、落語を主題にした「時そば」(混声合唱)、女声合唱組曲「京都の恋(詩:黛まどか)」「花だより(詩:高橋うらら)」など。ピアノ曲としては「ピアノ発表会物語」がピティナ・ミュッセ(インターネット上の楽譜配信サービス)にて好評配信中。
1998年に広島で行われた国民体育大会では、開会式・閉会式のファンファーレを作曲。一般社団法人全日本ピアノ指導者協会正会員。
※高嶋の「高」は、はしごだかが正式です。システム上表示ができないため代用しております。
The Paris Trombone Quartet made their first visit to Japan 25 years ago, in 1987. During concerts and clinics across the country, they captivated audiences everywhere they went. When they left, they said, "We'll come back in two years!"―and I promised to compose a new piece for their return.
After hearing their stunning debut performance, I became convinced that for them, apart from range limitations, nothing was impossible: swift leaps, delicate passages, and endlessly smooth melodies. It completely overturned my previous image of the trombone and inspired me to compose for trombone quartet with absolute freedom, resulting in this work: Passepied.
True to their word, they returned to Japan in 1989. A few days before their Tokyo performance, I attended one of their studio rehearsals. Despite the fatigue from their long flight, they played cheerfully and effortlessly. The moment their sound filled the room, all the uncertainties I had felt during the composition process vanished, replaced by a sense of fulfillment beyond words.
Passepied is originally the name of a dance popular in the 17thcentury French court. However, please perform this piece freely, without being bound by its origins. After the gentle introduction, the main theme should be played lightly and energetically.
I look forward to encountering many wonderful performances! (Keiko Takashima)
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